[堺市長選2017特集] 寄稿記事 「幼児教育の無償化」が理念に合致するか(堺市議会議員・渕上猛志)

■「幼児教育の無償化」が理念に合致するか

「幼児教育の無償化」は、大阪維新の会の看板政策であり、堺市長選挙でもマニフェストにも大きく掲載されています。

その目的は、「すべての子どもたちが等しく教育を受けられること」だそうで(吉村大阪市長答弁より)、堺市議会においても、度々、そのような主張がなされています。

 

ここで、この政策に対して、一つの疑問を投げかけたいと思います。

 

『そもそも、経済的理由で幼児教育が受けられない子どもがいるのか?』です。

結論から言えば、「無償化しないと幼児教育を受けられない子ども」は、ほとんどいません。

なぜなら、そもそも幼児教育には、就園奨励補助金があり、低所得の家庭では満額か、満額に近い補助が出るからです。

幼児教育の無償化によって恩恵を受けるのは、中所得・高所得の家庭です

もちろん、それらの家庭にとっても、無償化はありがたい話でしょうが、本来の目的である「すべての子どもに幼児教育」という主旨とは外れます。

 

幼児教育を受けられていない子どもは、堺市の4、5歳児のうち2%程度と推定され、その大半は、「貧困で幼稚園に行けない」ではなく、「認可外施設を利用している子ども」です。

 

 

この子どもらに幼児教育を提供する施策は、無償化ではなく、「(幼児教育を提供する、保育の)認可施設を増やすこと」です。

つまり、待機児童対策です。

この点においては、大阪市よりも、堺市の方が格段に進んでいます。

 

大阪市の待機児童は堺市の10倍以上、人口あたりでも約3倍です。

幼児教育の無償化に莫大な予算を投じるならば、待機児童対策にもっと真剣になる方が「すべての子どもたちが等しく教育を受けられること」に繋がるのです。

 

一方で今年度、吉村市政では、待機児童対策の予算を一気に引き上げました。喜ばしいことですが、その多くが執行できず、待機児童解消効果が限られているようです。

いきなりお金をつけても、それに比例して保育所を増やせるわけではありません。

土地にも、保育士にも限りがあるからです。

堺市は、ピーク時に900人近くいた待機児童が、長い取り組みの中で31人となりました。待機児童ゼロまであと一歩です。

維新が掲げる「すべての子どもに等しく教育」という理念は素晴らしいものです。

しかし、「幼児教育の無償化」はその的を外したものであり、堺市は、すでに存在する「就園奨励補助」と、「地道な待機児童対策」によって、その理念を実現していきます。