維新による堺の水道事業批判は真実か?徹底検証

維新プレス号外堺特集号をはじめ大阪維新の会による堺市の水道事業への批判が猛烈ですが
既報のように堺市の水道料金は別段高くなく、むしろ府下では安い部類であること、一方大阪市が安いのは、明治以来の国費入った国策として上下水道完備がなされてきたことと、淀川という大水源によるものであることは明らかにしました。

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つまり、その価格差は維新政治の結果でもなんでもなく、それ以前からずっとの傾向であり、維新の堺市政になったから同レベルの価格になるようなものではないわけです。
そもそもその地域環境に大きく影響されるものであり、高い自治体が不真面目とか、安い自治体が頑張ってるなどとは一概に言える話ではなく
これを竹山市政の失策のように吹聴、市民不安を煽る選挙手法は極めて悪質と言えます。

 

 

●水道料金格差

維新プレス号外堺特集号Vol.1では
・「水道料金がべらぼうに高い!」
・「大阪市と比べると、堺市の水道料金は平均で1.5倍以上」
・「堺市は大阪市より水道料金が・・・月間約2,000円、年間約24,000円も高い!」
…等と言ったセンセーショナルな文句が並びます。

※今回の記事では詳しく取り上げませんがこの維新プレスの引用箇所に含まれる、防犯灯の設置事業に関しても、堺市が全国随一の補助をし推進している事業です 参考

 

まず「水道料金」と「下水道料金」を正確に用語を使っていません。
年間24,000円は、水道料金+下水道使用料の差です。維新プレス号外のチラシでは、堺市の水道料金が高いかのような表現になっていますが、下水道使用料を含めた料金格差の間違いです。
正しい水道料金差は大阪市と堺市の水道料金の差は、月間411円です。

 

また、今後のことと考えると大阪市には上下水道管の老朽化という今後の値上げ懸念要素があります。

 

大阪市と堺市の上下水道管の老朽化率(27年度末時点)は以下のようになっています。

◆水道 40年以上(法定耐用年数)
堺 16%
大阪市 44%

◆下水道 50年以上(〃)
堺 5%
大阪市 31%

これらの今後のコスト増懸念は大阪市にこそある状況です。
堺市はあとから投資してきて現在値段が高いと指摘される部分もあるでしょうが(とはいえ府下では安い部類の自治体)、

そのぶん老朽化率は低いということで、そこでの将来負担増の懸念は大阪市より低いと言えます。

 

事実老朽化による事故が大阪市で頻発しています。

報道発表資料 東住吉区駒川3丁目の水道管の漏水事故について/大阪市
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/suido/0000380275.html
報道発表資料 阿倍野区阪南町5丁目の水道管の漏水事故について
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/suido/0000331843.html
古い水道管破裂相次ぐ / 読売新聞関西版(上記事故についての記事)
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO023571/20161204-OYTAT50006.html

破裂した管は61年前の埋設で、総務省令で定められた耐用年数(40年)をはるかに超えていた。大阪市の担当者は「これだけ古いと、いつ破裂しても不思議ではないんです」と申し訳なさそうに打ち明ける。
ここだけではない。上水道の歴史が古い同市では、水道管5200キロ・メートルのうち40年超が43・3%(2014年度)に達し、政令市で最悪だ。破裂などの事故は毎年約200件あり、漏れて無駄になった水は15年度だけで約2400万キロ・リットル(約2億円相当)。全水量の6%に上る。

 

 

<ポイント>

・堺市の水道料金(2,484円)は、大阪市(2,073円)より少し高くなっていますが、大阪府内の平均(2,812円)より安い金額で、水道水を提供できています。
府下の市の順位では9位と、むしろ上位で実は安い部類というのは既報の通りです。大阪市と比較するのはミスリード狙いです。

・大阪市の水道料金が安いのは、水源である淀川に近く、浄水コストが安いためです。
加えて、大阪市では、企業などの大口使用者の料金を高くすることで、小口使用の料金を安くしています。

・大阪市の水道料金は現在、堺市より安いですが、戦前の国策での大阪市の上下水道インフラ整備から連綿と続く要素という話をしましたが、
結果大阪市では堺市に比べて古い水道管が多いので、今後は漏水や水道管更新にかかる費用増大のリスクが想定されています。

 

 

●水道事業経営

維新プレス号外堺特集号Vol.1では
・「維新の吉村市長は(良い経営を)やっています(料金を安くしています)!」

…と、あたかも維新市政のおかげで大阪市の水道料金が全国トップクラスの安さであることを誇っていますが、これは誤りです。
そもそも維新市政以前からそうです。それは何度も述べてきているように大昔からの国策としての整備と、淀川のおかげです

それでは、維新市政になってからの大阪市の状況を検証してみましょう。

 

大阪市の水道料金は、平成9年に引上げ改定して以降、据え置かれています。
つまり、橋下市長の就任後(平成23年12月~)、吉村市長の就任後(平成27年12月~)に、経営努力による水道料金の引下げを行っていません。

 

大阪市の水道料金が低いのは、水源である淀川に近く、浄水コストが安いためです。(堺市は浄水処理事業を行っておらず、企業団から100%受水しています)。
加えて、企業などの大口使用者の料金を高くすることで、小口使用の料金を安くしています。
両市の水道料金の差は、水道事業の構造の違いによるものであり、吉村市長が良い経営をやっているからではありませんから、維新プレスの主張は話を盛っています。

また、水道事業の構造の違いがあります。水道施設の整備時期や人口密度などの社会的要因、水源からの距離や水質などの地理的要因、それを加味する必要があります。

 

さらに小口・大口料金の比較を見ると、大口では堺市のほうが安いという状況もあるようで一概に言える話ではありません。

 

<ポイント>

・大阪市の水道料金が堺市より安いのは、水道事業の構造上の違いによるもので、決して、「吉村市長が良い経営をやっている」からではありません。
・竹山市長就任後の堺市では、大阪広域水道企業団からの受水費の値下げを活用して、水道料金の引下げ(税込105円)を行いました>


●下水道事業経営

維新プレス号外堺特集号Vol.1では
・「維新の吉村市長は(良い経営を)やっています(料金を安くしています)!」
…と書かれています。

しかしこれも事実ではありません
水道料金と同様で、大阪市の下水道使用料は、平成13年に引上げ改定して以降、据え置かれています。
つまり、橋下市長の就任後(平成23年12月~)、吉村市長の就任後(平成27年12月~)も、下水道使用料は据え置かれたままです。

少々専門的な話になってきますが、大阪市は下水道整備の時期が早く、合流式下水道を採用しているため、堺市と比較して当時の整備コストが低いのです。
そのため、大阪市ではその整備コストである企業債の償還や支払利息の負担が小さくなっています。
対して環境基準が厳しくなってからの整備事業である堺市の場合、負担はより大きいという事情があります。

 

大阪市は、大口使用者が多いため一人当たりの有収水量が多くなっています。
また、堺市に比べて水量ランク別料金体系の累進度が高いため、一般家庭(小口ランク)は安くなっています。


両市の下水道使用料の差は、下水道事業の構造の違いによるものであって、吉村市長が良い経営をやっているからではありません。

 

※合流式下水道と分流式下水道の違い
合流式下水道は、汚水と雨水を1本の管きょで排除する方式です。
一方、分流式下水道は、汚水と雨水を別々の管きょで排除する方式です。
合流式下水道は、布設する管きょが1本で済むので、分流式下水道より一般的に施工が安価になる傾向がありますが、降雨時に未処理下水が海や川に放流されるおそれがあります。

※なぜ堺市は分流式下水道を採用しているのか?
古くから整備を始めた都市は、その多くが合流式下水道で整備を進めましたが、下水道の普及とともに、河川等で未処理下水による汚濁が広がり、その対策が急務となりました。
そこで、昭和45年に下水道法が改正され、下水道の役割として、公共用水域の水質保全が位置付けられ、それ以降の下水道は分流式が採用されるようになりました。堺市も公共用水域の水質保全の観点から、市域の大部分で分流式下水道を採用しています。

それに加えて、美原町と合併し、下水道普及率の低かったところをほぼ100%にまで一気に整えた投資も下水料金に負担となってきました。
(合併時は普及率66.8%→現在は99.7%)

 

 

<ポイント>

・大阪市の下水道使用料が堺市より大幅に安いのは、下水道事業の構造上の違いによるもので、決して、「吉村市長が良い経営をやっている」からではありません。
・堺市では既に、下水処理場の運営や管きょの維持管理の包括的民間委託が全国でもトップレベルで進んでいます。
・包括的民間委託と大阪市がめざしているコンセッション方式での運営で、事業運営の効率化の点で大きな差はありません。
堺市では、平成29年10月から下水道基本使用料を50円引き下げます。
・これは、市民の安全・安心を確保する事業を着実に進めるとともに、経営改善に取り組むことにより、平成32年度まで経営の安定性を確保できる見通しが立ったため、市民の生活負担を軽減すべく引下げを行うものです。
・美原区の下水道普及率をほぼ100%にまで整備すべく投資した影響があった。
・整備が大阪市より新しい堺市は、整備コストがこれまでかかっている反面、老朽化率では大阪市 31%に対し堺 5%と、当面老朽化影響での値上げ懸念は薄い状況です。

 

 

 

以上、見てきたように、堺市の水道行政がきちんと更新し、経営努力もしてきていることは明らかであり
維新市政で大阪市が別段値下げしたわけでもなく、その水道料金を維新の成果かのように言うことは間違いです。
また、大阪市は早くから整備してきた上下水道の耐用年数を迎え、近く大規模投資が必要になるでしょう。
これは危機管理上も問題です。地震だけでなく、漏水による陥没事故なども懸念されます(実際に起こっている)。